君の隣
「……拓実、ずっと……こうしたかった……

 そういえば、治療と日々の仕事で、拓実に甘えてる時間、なかったよね」

「俺も。

ずっと我慢してた。

理名をこうして、抱きたくて」

唇が重なり、肩が震え、シーツの中でふたりの輪郭が溶けていく。

確かめるように、慈しむように、何度も。

想いが深くなるたびに、動きも呼吸も溶け合って──

やがて、優しい余韻だけが、しんとした部屋に漂った。

理名は、拓実の腕の中で静かに目を閉じる。

「……幸せだね」

「うん。
理名が隣にいる。

 ただそれだけで、俺は全部報われるよ」

拓実の唇が、額に触れる。

「……次に目が覚めても、絶対そばにいてね」

「もちろん。
──永遠に、君のそばにいるよ」

ふたりは、愛を語るよりも深く、愛を分かち合った。

未来がどうであろうと、この夜の確かさだけは、誰にも壊せない──

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