君の隣
拓実は、理名の隣に、無言で座っていた。

 眠ってはいない。

 目を閉じることすら、許せなかった。

理名の顔は蒼白で、呼吸器につながれた口元が痛々しい。

 ただ、心電図のリズムは、確かにそこに「命」を示していた。

「……ごめんな、理名」

彼女の手をそっと握る。

 今はまだ、返事も、まばたきもない。

 それでも、彼女の手は──たしかに、そこにある。

「全部、気づくのが遅かった。
 お前がどれだけひとりで抱えてたか、どれだけ怖かったか……」

そう言いながら、そっと額を理名の手の甲に押し当てた。

(でも、もう絶対に──見落としたりしない)

モニターを見上げるたびに、拓実は何度もその誓いを繰り返した。


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