君の隣
理名自身の恋愛話。

 それこそ、まさ親友たちに話そうとしていた話題だ。

 まさにその時だった。

 彼女の青いシリコンカバーのスマホが呼び出し音を鳴らした。

表示されているのは、彼女が指導している研修医の名前だった。

理名は嫌な胸騒ぎを覚えた。

 すでにグラスを三杯重ねている。

 判断力が鈍っている状態で指示を出すのは、いけない。

 ましてや手術の助手を務めるとなれば、非常に緊張を伴う重大な仕事だ。


 しかし、聞かないわけにもいかない。

残念ながら、彼女の座る席は座敷の一番奥だった。

 手前にいる親友たちに一度個室の外へ出てもらい、その間を抜けて外へと向かう。

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