君の隣
高沢は彼女をベッドへと横たえ、ゆっくりと身体を重ねる。

 唇が、胸元に、肩に、鎖骨に──

丁寧に刻むように触れていく。

朱音の脚が彼の腰を絡め取る。

彼の手がゆっくりと太ももをなぞり、やがて奥へ。

「朱音……

 俺も、ずっと、あなたに触れたかった」

肌と肌が重なり、ぬくもりと震えが絡まり合う。

呼吸と共に交わされる名前の響き。

 何度も、何度も──朱音、朱音……朱音。

その夜、彼女は初めて本当の意味で、ひとりではなかった。

身体を、心を、そして涙をも、委ねられる相手が、そこにいた。

「……あぁ……もう、ダメ……」

何度も重なって、身体を、心を、そして涙をもすべてさらけ出したふたり──

 夜が深まるほどに、境界は消えていった。
 

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