君の隣
拓実が医局から戻る道すがら、拓実の視界に見知った顔が映った。

 理名と拓実の親友で、精神科医である深月。

同じく親友で、臨床心理士の道明(みちあき)

まだロッカーに寄る前なのか、ラベンダーのブラウスに、ドット柄のスカート。
 
道明は、黒いシャツに、カーキのスラックス姿だった。

 娘の深明(みあ)を、幼稚園まで送った後だったのだろう。

可愛い愛娘の会話に花が咲いていた。

深月の横を通り過ぎた後。

 
「拓実くん?

あなた……間に合ってよかったわね」

「あ……深月、君が……」

言葉にならずとも、彼は気づいた。

 最初に理名の危険を察知し、通報して救命につなげた人物。

 それは、間違いなくこの人だったのだ、と。

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