君の隣
麻未×慎也

甘い時間

陽が傾きだした病室内。

 言葉よりも、目線と手のぬくもりがすべてを語る──

そんなプロポーズの瞬間。

 それをそっと見届けたのは、同じく医師であり、夫婦である慎也と麻未だった。
 
病室の扉を開けようとした麻未を、慎也が片手で制した。

「邪魔しないでやれよ、麻未。

せっかくの人生の節目なんだからな」

「そうする。

理名、泣いてたね」

 「うん。

 嬉しそうだった。

 ……拓実も、やっとだよな」

 
 廊下に出た瞬間、麻未は小さく息をつく。

 「……なんか、もう……ダメ。

 だめだよ、ああいうの、反則……」

「んー?

 甘えたモード入った?」

「入ったに決まってるじゃん。

 ……慎也も、あれ見て何も感じなかった?」

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