君の隣
空が白み始めるころ。

 麻未が帰宅したのは、午前4時過ぎ。

カギを回す音で、玄関がそっと開いた。
眠っているであろう慎也を起こさぬよう、静かにドアを閉めた。

「……おかえり」

そこに立っていたのは、寝室から出てきた慎也だった。

 寝癖のついた、短い茶髪。

 瞳は冴えきっていた。
 もしかして。

 寝ないで、待ってたの?

 Tシャツにパジャマのズボンという姿。

「……ただいま、慎也……

 寝ててくれて、良かったのに」

「麻未が隣にいないと、眠れなくて。
 それに、今日は休みだから。

 麻未もでしょ?」

「うん。
 しばらく休み、取れてなかったから」

「お疲れさま。

……無事に帰ってきてくれて、よかった」

麻未は、ブラウンのスニーカーを脱ぐと、そのまま慎也の胸に飛び込んだ。

「……もう、我慢の限界。

……ぎゅって、して……」

「してるよ」

腕をまわし、強く、優しく抱きしめる。

< 42 / 216 >

この作品をシェア

pagetop