君の隣
「……朝日、きれいだね」

「うん。

でも、君のほうが……ずっと、綺麗だ」

「また……そんな甘いこと言って……
 ずるいよ、慎也。

 どんどん好きになっちゃうじゃん」

「俺も。

 大好きだよ、麻未」

その囁きに──
 麻未は頬を赤らめながら、安心したように彼の胸に顔を埋めた。

「……ごはん、作るね」

そう言ってキッチンに立った麻未の背中は、どこかいつもより軽やかだった。

 それでいて、ほんの少しだけ“何か”を決めたような気配があった。

食事を終えた後、ソファに腰を下ろす麻未は、どこか遠くを見つめていた。

「……どうした?」

「……なんかね、考えてたの」

「なにを?」

「……“子ども”のこと。

 もし私たちに子どもができたらって考えたら、怖くなった」

「怖い……?」

「うん……

 私に、ちゃんと育てられるかなって」

そっと俯いた麻未の頬に、慎也が手を添える。

「……育てよう、一緒に。

 怖いときは、俺が全部受け止めるから」

麻未は、きゅっと唇を噛んで──
 それから、そっと微笑む。

「……もう、ほんと……好き」

 「じゃあ、“おかわり”」

今度は、頬じゃなく、唇へ。

お互いのぬくもりがゆっくりと交わる、優しくて深いキス。

 言葉の代わりに、心の奥を確かめ合うような、静かな情熱。

 そのまま、自然にふたりの身体は重なり合っていった。

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