君の隣
「私、そこで倒れたの。

 インフルエンザだったって、後から『みのりの里』の佐伯(さえき)さんに聞いたんだ」

慎也の目が、静かに揺れる。

「覚えてる。

 ベンチの近くで、ぐったりしてる子がいて……すぐ病院に連れて行った。

  “また会えた”って思ったけど、君は熱で朦朧としてて、俺のことわかんなかった」

麻未は、照れくさそうに微笑んだ。

「……あの時の“命の恩人”が、まさか後に再会するあなたで。
 再会したときは……運命とか、そういう言葉で片づけたくなかったけど──

 でも、私、あの頃からずっと追いかけてたんだよ。

 もう一度会いたくて」

慎也が彼女の手を取り、そっと額を寄せた。

「麻未。
 俺と出会ってくれて、ありがとう。

 ……生きててくれて、ありがとう」

「……慎也がいてくれたから、生きようって思えた。

 誰かと繋がりたいって、初めて思った」

麻未は、涙を拭いながら、ほんの少しだけ笑う。

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