君の隣
そして、慎也はそっと麻未の下腹に触れ──未来の命に語りかけるように。

「いつか、ここに君と俺の“全部”を受け継いだ子が来たら……

 絶対、幸せにしような。

君も、子どもも」

麻未はこくんと頷いて、彼の胸にそっと頬を押し当てた。

「……私も、信じてみたい。

自分の中に、愛があるって」

「あるよ。
もう、いっぱいある。
──俺には、ちゃんと見えてる」

 そっと、慎也が麻未の左腕にまだ複数残る傷痕を優しく撫でた。

「これは、俺が死んでも傷は増やさないでくれよ。

 麻未と一緒に住むようになったのと、病院実習が重なって、つい、麻未に気持ちをぶつけちゃったことがあったけど。

あの後、麻未が倒れてたから、生きた心地がしなかったよ」

「うん。
 もうしないよ。

 慎也が隣にいてくれるもん」

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