君の隣
──あの夜のことを、麻未は今もときどき、思い出す。
「なんでいつも、君は黙って抱え込むんだよ……!
そんなに、俺が頼れないのかよ!」
初めての喧嘩。
慎也の怒声に、傷ついた心が揺れた。
深夜、誰もいない部屋で、カッターを手首に当てて、そっと切り始めたそのとき──ドアが開いた。
「麻未!」
戻ってきた慎也が寸前で手を掴み、カッターが床に鋭く音を立てて落ちた。
慎也は、すぐに彼女の異変に気づいた。
「おい……
熱があるじゃないか。
無理するなって、言っただろ」
そのまま病院へ連れて行かれ、処置を受けた夜。
点滴が繋がれた左腕には、真新しい包帯が巻かれていた。
「なんでいつも、君は黙って抱え込むんだよ……!
そんなに、俺が頼れないのかよ!」
初めての喧嘩。
慎也の怒声に、傷ついた心が揺れた。
深夜、誰もいない部屋で、カッターを手首に当てて、そっと切り始めたそのとき──ドアが開いた。
「麻未!」
戻ってきた慎也が寸前で手を掴み、カッターが床に鋭く音を立てて落ちた。
慎也は、すぐに彼女の異変に気づいた。
「おい……
熱があるじゃないか。
無理するなって、言っただろ」
そのまま病院へ連れて行かれ、処置を受けた夜。
点滴が繋がれた左腕には、真新しい包帯が巻かれていた。