君の隣

妊娠

午前中はいつも通り、子どもたちの笑顔に囲まれながら、忙しく診察をこなしていた。

外来の待機室で、カルテを確認していた麻未の手が、一瞬止まった。

麻未は、自分の身体の小さな変化に気づき始めていた。

ほんの少し、息が上がる。

 それは決して苦いわけではない。

何かが心に引っかかる感覚だった。

(まさか……)

手帳を開いた。

 勤務予定の隅に小さく書かれた、生理予定日。

──ずれている。

 確実に。

ほんの数日。

でも、彼女にはわかった。

 自分の体は、敏感なほどリズムを把握していたから。

「……朱音先生、いま、外来空いてるかな……」

手帳を閉じて立ち上がると、麻未は
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