君の隣
白衣を軽く整えた。

産婦人科は同じフロアの奥にある。

扉の向こうからは、助産師たちの朗らかな笑い声が漏れていた。

「──失礼します」

声をかけてドアを開けると、パステルグリーンのカーテン越しに、見慣れたシルエットが振り返った。

「あれ? 
……麻未ちゃん?」

朱音は、診察用の椅子から立ち上がると、白衣のポケットに手を入れながら笑う。

「どうしたの?

 患者さんのことで、聞きたいこと?」

「……いえ。

あの……朱音先生に、ちょっと相談したいことがあって」

頬に少し赤みが差す。

 朱音はその空気を瞬時に読み取ったようだった。

「……なるほど」

優しく微笑むと、部屋の奥へと手を差し伸べた。

「ちょうど予約の合間なの。

入って。

話そうか」

麻未は、深呼吸ひとつ。

未来に踏み出すように、静かに朱音のもとへ歩いていった。

「……それで、ね」

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