君の隣
慎也は、そっと麻未の手を自分の胸にあてがった。

「だから、何があっても、全部受け止める。

 痛いときも、泣きたいときも、逃げたくなっても……

 その全部、いっしょに抱えてくから」

その言葉に、麻未は唇を噛み、再び目を閉じた。

「……ありがとう、慎也」

ふたりはしばらく、言葉を交わさずに寄り添った。

ただ、体温と呼吸を感じ合いながら。

そして──

「ねえ、もうすぐ……ふたりじゃなくなるんだよね」

「うん。

 でも、ひとり増えても……

 きみと手をつなぐこの形は、変わらないよ」

麻未はその言葉に微笑んで、彼の胸元にさらに顔を近づけた。

「夜、寝る前にぎゅってするのも、お風呂で髪洗ってくれるのも、変わらない?」

「むしろ、毎日やりたい」

「……ほんとに優しすぎ。

 もう、泣けちゃう……」

やわらかく笑って、彼の首に腕をまわす。

その夜、ふたりは長いこと、抱き合っていた。

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