君の隣

家族の仲間入り

運転席から、慎也の声が響く。

「……っ、ごめん……頭、真っ白で……」

「いいよ、いい。

 怖いって思っていい。

 ……でもひとりじゃないから」

信号待ちの間、慎也は後ろを振り返って、精一杯の笑顔を向けた。

「もうすぐだからね。

 成都輪生に着いたら、いつもの朱音先生もいる。

 皆がいる職場の方が、麻未も安心だろう?

 俺も、ついてるから」

麻未は、涙ぐみながら頷いた。

成都輪生大学病院。

 救急搬送口から入り、事前に連絡を受けていた朱音が、すぐに対応にあたった。

「陣痛間隔、3分台になってます。

 進行早いです」

「岡崎先生、がんばって。

 もうすぐ会えるからね」

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