君の隣
「はい、女の子ですよ。

 元気な赤ちゃんです」

小さな身体が、産声を上げながら包まれる。

 へその緒を切る音。

 濡れた髪、しわくちゃの手足。

朱音がそっと麻未の胸元にその命を預けた。

「……っ、
……生まれてきてくれて……ありがとう……」

震える手で、彼女は娘を抱きしめる。
涙が止まらなかった。

扉が静かに開いた。

「栗沢先生。

 入っていいですよ。

 母子ともに無事です」

看護師の声に、慎也はすぐさま立ち上がる。

 その足取りは、感情が先走るように少しぎこちなかった。

扉の向こう。

麻未は、ベッドに横たわっていた。

 目の下にうっすらとしたクマ。

 額には汗。

腕の中には──生まれたばかりの、小さな命。

「……麻未……!」

慎也は思わず、涙声で呼びかけた。

「見て……あなたの娘だよ……」

彼女が差し出した、小さな命。

包まれていたブランケットの中、きゅっと握った小さな手。

 薄く閉じられた瞼と、鼻筋。

 不思議なことに、彼女はふたりにどこか似ていた。

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