恋がしたい。ただ恋がしたい。

からかったのが原因じゃなかったら、何でそんなに眉を寄せてムスッとした顔をしているの?


「はい、どうぞ。」


盛大なため息と共に、コトッと目の前にトレーが置かれた。


トレーには、焼きたてのフレンチトーストにソーセージとサラダのワンプレートに、ベリーとイチゴがたっぷりトッピングされたヨーグルトと、ドリップしたコーヒーが乗っていた。


カフェのモーニングのような朝食に目が輝き、テンションが上がる。


「わぁ、美味しそう!」


「美味しそう、じゃなくて美味しいからね。冷めないうちに、どうぞ召し上がれ。」


私も料理は好きだし、よく作るけど、裕介くんのほうが手際もいいし、毎日プロのお料理を見ているからか、見た目もいい。


「うん…美味しい!」


そして間違いなく私より美味しいものを作ってくれる。


ふわふわのトーストにかじりついて幸せを噛み締めながら、ふと視線を上げると裕介くんが自分の分のトレーを持ったまま、私の向かいに立ってじっと見ていることに気がついた。


「どうしたの?裕介くん…食べないの?」


視線がぶつかる。それでも彼は一言も喋らず、じっと私の目を見ていた。


「…あんまり食べてるトコ見られると恥ずかしいんですけど…。」
< 101 / 270 >

この作品をシェア

pagetop