恋がしたい。ただ恋がしたい。

「ありがとうございます。」


ほっと胸を撫で下ろしながら入り口が見える方の席へと腰かける。



ブラックコーヒーを注文して、テーブルの上に置いたスマホに目を落とす。14時40分を過ぎた所だった。


『もう着いてます。カウンターの横の席にいます。』と亨にLINEをした。


すぐに既読が付く。でも向かっている途中だからか、返信やスタンプは返って来なかった。


コーヒーが来ても、温くなってしまっても、15時近くなっても何も音沙汰が無い。


「来るまで待ってる、なんて書いてたくせに…。」


これじゃ、私が呼び出したみたいじゃない。


思わず、恨み言の一言、二言が口をついて出そうになった瞬間、カフェスペースの入り口で辺りを見回すように立っている亨の姿を見つけた。


スクエア型のメタルフレームの眼鏡の奥から見える垂れ目がちの二重の瞳。


パーマのかかったような茶色のくせ毛は、彼の色白で少しだけ線の細い体型とよく合っていて、どこまでも『優しい』印象を与える人だった。



「ーー亨。」


呼び掛けると亨はふっ、とこちらに視線を向けて、安心したように微笑んだ。
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