恋がしたい。ただ恋がしたい。
止まったはずの涙が、また瞳から溢れてこぼれ落ちる。
そのまま洗濯機の前でうずくまって、声を殺して泣いた。
どうして、助けてくれたの?
どうして、慰めてくれたの?
どうして…
彼女がいるのに私を抱いたの?
『彼女なんていないよ。』そう言ってたのに。
彼女からしてみれば、転がり込んだ時は紫がいたとは言え、姉が出て行った後も図々しく住み続ける女にさぞかし腹が立っていたことだろう。
裕介くんは帰って来ない。どうせ一人っきりなんだから、思い切り声をあげて、ひどいよって、裕介くんを罵って泣いたっていいはずなのに。
そう思うのに、さっきまでのしあわせな時間を思い出すと声をあげて泣くことすらできなかった。
『ーー香織ちゃん…』
裕介くんは少しだけ眉を寄せた艶やかな表情で、何度も吐息混じりに私の名前を囁いた。
その声が愛しい人を呼ぶみたいに切ない響きを持っていたから…愚かにも、私は愛されているんだって勘違いをしてしまった。
…そうだ。『好きだよ』なんて、一言も言われてない。
裕介くんが誰にでも優しいなんて、分かってた事なのに。
あの優しさが、あの温もりが、私だけのものになるなんて考えちゃいけなかったのに。