恋がしたい。ただ恋がしたい。

裕介くんが少しだけ意地悪く笑いながら、また頭を撫でてくる。


「…僕があんまり意地悪したから、呆れちゃった?それとも僕の言いたい事が分かんなくて悲しかった…?それなら香織ちゃんに分かってもらえるまで、ちゃんと伝えるけど?」


流れる涙を手の甲で拭いながら、様子を窺う裕介くんに慌てて頭をふった。


「違う、違うの。裕介くんの言いたかった事が分からなくて、情けないし恥ずかしかったけど…呆れてはいないよ。それに……泣いたのは悲しかったからじゃないの。」


「…じゃあ、何?」


「………嬉しかったの。」


「……嬉しかった?」


「うん。……今までみたいに仲良くなんて出来ないかもしれないって……覚悟してた。裕介くんは、私と…その……寝ちゃった事を、後悔してるかも…しれないって。そう思ってたの。だから心配してくれて嬉しかった。……今も、何も意識しないで普通に会話ができて嬉しかったの。」


ピタリ、と頭を撫でた手が止まる。


「そっか。…やっぱり、僕と同じ気持ちでいてくれたんだね。」


「…えっ?」



『やっぱり』の意味が分からずに聞き返すと、裕介くんの整った顔がすっと近づいて来た。



涙で濡れた頬に、まだ疑問の残る唇に、軽く触れるだけのキスが落とされる。



「香織ちゃん。……好きだよ。」
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