恋がしたい。ただ恋がしたい。
ここまで言ってくれても、まだ裕介くんの言葉が信じられないのは、心の中に引っ掛かっている疑問が全て解決されていないからだと思う。
裕介くんは、私が細かい事まで気になるくせに、気が弱くてちゃんと確かめる勇気が無かったり、素直な気持ちを面に出せない性格をちゃんと分かってくれて、こうして何でも話して欲しいって言ってくれている。
…だから、ここで私が逃げちゃダメなんだ。向き合わなきゃ。
俯いてしまわないよう、ぐっと手に、顔に力を入れる。
「さっき、紫が裕介くんに言ってたでしょ?これ以上中途半端な事はするなって。後、約束を破っちゃダメだって。それって………その、『彼女』がいるのに、私と寝ちゃったのが中途半端な事なんじゃないかって…そう思ってたの。」
だけど、裕介くんは有紗さんとは付き合っていなかった。だから紫は何を『中途半端』だと怒ったのか、私には分からない。
「…後ね、紫から聞いたんだけど、ここに私以外の人って来た事が無いんだってね。裕介くんと約束したからって、そう言ってた。だから……ここに誰かを…『彼女』を呼んで紫との約束を破ったから、紫は怒ってたんじゃないかなって、私はそう思ったんだけど……それも違うのよね?」
違っていて欲しい。そう思いながら真っ直ぐに裕介くんの目を見つめた。
「…うん、違うよ。」
裕介くんも私の思いに応えるように、真っ直ぐ見つめ返してくれた。
「紫ちゃんが中途半端だって僕を責めたのは、香織ちゃんにちゃんと気持ちを伝えてないのに…言い方が悪いんだけど、先に手を出しちゃったから。」
「それで、『約束』っていうのは、紫ちゃんがここを出る時に香織ちゃんを絶対泣かせるなって僕に言ったんだ。」