恋がしたい。ただ恋がしたい。
最後の質問です。

…これは、恋ですか?


***

「『Milkyway』でそんな話をして来たの?…しかも、カウンターで?」

「うん。何だかすっきりしちゃった。」


『Milkyway』で紫とお茶をしてから、仕事を早く終えた裕介くんと久しぶりに駅前で待ち合わせをした。


付き合い始めて一ヶ月が経ったけど、裕介くんは新店舗のオープン準備に忙殺されていたし、私は私で研修に参加しなくちゃいけなかったり、登校日の準備や部活の指導で何だかんだと土日も学校へ行っていて……


夏休みだって終わってしまったのに、デートどころかまだ一度も休日を一緒に過ごしていなかった。



「もうダメ!限界!」


香織ちゃん不足だよ!と叫ぶ裕介くんがあまりにもかわいい……もとい、可哀想なので、お互いやりくりしてちょっとだけでも一緒に過ごす時間を作ろう!って決めたのは金曜日の夜の事だった。


今日は久しぶりに『紫山』に来た。『紫山』も『Milkyway』と同じく混み合っていて、私達はカウンター席に通された。


今日は、よくよくカウンター席に縁がある日らしい。



最後に二人でここに来たのは、あの日以来だ。


前に住んでたアパートに送ってもらったら、ドアの鍵が開いてて、泥棒かと思ってびっくりしたら、犯人は亨だったって事が分かって……そのまま今のマンションに移り住むきっかけになった出来事があった、あの日。


カウンターの下で手を繋がれた事や、そのまま指を絡めるように手を繋いだままで一緒に帰った事を思い返して、少しだけ頬が熱くなる。


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