恋がしたい。ただ恋がしたい。
目の前の公園を抜けるとマンションが見えてくるけど、私達は公園には入らずに、そのまま国道を真っ直ぐ歩いた。
「紫ちゃんからね、香織ちゃんが純くんと付き合ったけどすぐに別れちゃったみたいだって聞いた時、何だか胸がモヤモヤとしたんたけど、その正体が何なのかはずっと分からなかった。」
「最初はさ、香織ちゃんのことを可哀想だなって思ってたんだ。純くんは……きっと一生振り向いてもらえなくても奈緒子ちゃんの事を好きなんだろうって僕は知ってたから。小さい頃からずっと純くんと奈緒子ちゃんと奏一くんの三人の関係を見ていたからね。」
「だから、香織ちゃんが純くんに告白して付き合ってたって聞いた時は正直驚いた。……まぁ、新歓の飲み会の時に酔った勢いでした告白だったってのを後から香織ちゃんから聞いた時は納得したけどね。」
「色々言いたい事もあったはずなのに、そんなの気にしてません、って感じで凛としてて。他の男(ヤツ)は香織ちゃんのその強さに惹かれていったけど、僕は違ったんだ。三年前、香織ちゃんが純くんに失恋をして家に来た時、紫ちゃんが寝た後で『ちゃんと好きだって伝えればよかった』って声も出さずに泣いてたのを偶然見てしまったから……。」
あの日はだいぶ酔っていたから覚えていないけど、それは、私の偽らざる心からの本音だったと思う。