恋がしたい。ただ恋がしたい。
後ろから軽くお腹の辺りに手を回すようにして、抱き締められる。正面からギュッとしないのは、裕介くんが眠ってしまっても、私が腕から抜け出すのに苦労しないようにと気を遣ってくれているのかもしれない。
私の肩にコツンと軽く額を付けると、彼はそのまますぐに、すぅ……と寝息を立てて眠ってしまった。
それから30分ほどして、裕介くんの温かな腕の中からそっと抜け出した。
穏やかな寝息を立てているその綺麗な顔をじっと見つめる。目の下にはうっすらと隈ができていた。
私が動いても身じろぎもしないから、相当疲れているのだと思う。
本当は土曜日の事だって話したかった。だけど話すどころか、こんな状態だとお願いされた時間に起こすのでさえ躊躇ってしまう。
それと、もう一つ。
「……聞けないなぁ。」
ある疑問を心の底に押し込めて、私は朝の支度をする為に部屋を後にした。
***
『何時になるか分からないから、今日も先に寝ててね。』
スタンプも無い文章だけのLINEの画面を見つめるだけで、ため息が出てしまう。
金曜日の勤務はラストまでのはずなのに、日付が変わっても裕介くんは帰って来なかった。
しかも明け方どころか、朝の7時過ぎに帰って来た裕介くんは「ごめん。もう寝るね。……起こさなくても大丈夫だから。」と、そのまま寝室に消えてしまった。
結局私は、純くんの家に行かなくちゃいけなくなった事を裕介くんに話しそびれてしまっていた。