恋がしたい。ただ恋がしたい。
そして、話さないうちにそのまま当日になってしまったという……。
「……ごめんね。」
思わず寝室のドアに向かって、ため息混じりに謝ってしまっていた。
どんなに疲れて帰って来ていたって、裕介くんが寝室に向かうのを引き止めて話すべきだった。
それをしなかったのは、どうしてだろう。
……遠慮した?……後ろめたかったから?……ううん。そうじゃない。
私が自分に自信が無いから言えないんだ。
言葉で態度で愛情を感じていたって、何か気になる事があるとすぐに不安になってしまう。
不安になるくせに、言えなかった言葉も聞けなかった疑問も心の中に無理やりギュッと押し込めて、何事も無く過ごそうとしてしまうのは、私の悪い癖だ。
そんな態度が相手にも不安を与えてしまう事だって、亨との事で散々懲りているはずなのに。
大体、不安になるくらいならサラッと「今日純くんの所に行ってくるね」って話をして、ついでに気になる事だって聞いてしまえば良かったんだ。
ちゃんと聞いたら、そんなに大したことじゃないかもしれないんだから。
『Felitita』から、もしくは新しいお店から直で帰って来ているはずの裕介くんの身体から、覚えの無いシャンプーやボディソープの香りがしたからって……
いちいち不安になる私がおかしいんだから。