恋がしたい。ただ恋がしたい。

「そっか。よっぽど忙しいんだな。……普段はそこまで気が回らないヤツじゃないのに。」

悪い事したな、なんて小山らしからぬ言葉を言いながら、この何日かの私の疑問と不安を解消する話をしてくれた。


***

「崎ちゃんセンセー、ほんと遅れてすみませんでした。……でも、ほんといいんですかね?これ、頂いちゃって。」


「パティシエがどうぞって言ってるんだから、いいんじゃないの。これ、奈緒……奥さんの大好物らしいし。」


「あのイケメンなパティシエさんも高校の時の同級生なんですよね?……センセーの周りって格好いい男(ひと)ばっかり。ほんと、羨ましいです。」


志田ちゃんに余計な情報を流したのは、どうやらもう一人の同級生で、これから訪ねる予定の男のようだった。


心の底から羨ましそうな表情をしている志田ちゃんには申し訳無いけど、私はそこまで羨ましい思いをした事は無い。


「……周りにイケメンがいたからって、今まで何にも良いこと無かったよ。」


それどころか、あのイケメンパティシエのほうの同級生には、いつもからかわれてばっかりだ。


さっきだって「志帆さんにおめでとうって伝えてね」とお祝いの言葉を口にした私に……


あろうことかあの男は「崎山も今のタイミングだったら、子ども同士も同級生になれるけど、どうする?」とニヤリと笑いながら言い放ったのだ。
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