恋がしたい。ただ恋がしたい。

言うだけ言うと、小山は固まってしまった私を置いて、さっさと厨房の方へと戻って行ってしまった。


恥ずかしさと、何も言い返せなかった悔しさで真っ赤になって立ち尽くしていたら、店のドアが開いて「お待たせしました!」とタイミング良く(?)志田ちゃんが駆け寄って来た。


一部始終を見ていた楓ちゃんだけが、何とも言えない表情で私の顔を見ていて……それも堪らなく恥ずかしかったのだ。


「崎ちゃん先生、それも貰ったんですか?」


志田ちゃんの車の助手席に座っている私の膝には、さっき渡されたロールケーキの箱の他に、パンの入った袋が置かれていた。


『裕介の作ったヤツだから、持っていけよ』って言われて持たされたものだ。


「悪阻が始まって、朝の仕込みが志帆一人だと大変なんだよ。もう今日からは手伝いの人の都合がついたから、裕介には今朝まで手伝ってもらってたんだけどな。」


志帆さんが妊娠して、体調を心配した小山が和希さん経由で裕介くんに手伝ってもらえないかと頼み込んだらしい。


何で裕介くんが?と思わず呟いてしまった私の疑問は当然だと思うんだけど、何にも知らなかった私に小山のほうが驚いていた。
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