恋がしたい。ただ恋がしたい。

「ーーちゃんセンセ?、崎ちゃん先生?」

「……えっ?あっ。……な、何?」


いつの間にか目の前に来ていた志田ちゃんに呼びかけられて、ハッと気がついた。


「……あー、ごめん。何かぼんやりしちゃって……。私は『Milkyway』で木村くんがバイトしてたの知らなかったなって思って……。」


咄嗟にごまかしたけど、頭の中はぐちゃぐちゃだった。


ですよねー、とか、で?いつバイトしてたのー?なんて志田ちゃんが木村くんや私に話しかけた会話の内容は、聞こえているはずなのにまるで遠くで喋っているみたいに全く頭の中に入って来てくれなかった。



……やだ。

これ以上ここにいたら、泣いてしまうかもしれない。



でも……帰りたいのに、逃げ出すタイミングが分からない。


志田ちゃんが帰りますって言い出さない限り、ここに連れて来てもらっている私が『おいとましますね』って言うのも何だか違う気がするし。


冷たくなった胃の底から、ぐっと何かがせりあがる感触がした。やがてそれは胸の奥に溜まり、喉の奥が熱くなり、呼吸をするのも苦しくなってきた。
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