恋がしたい。ただ恋がしたい。
行き場の無い感情が、涙となって溢れ落ちそうになった瞬間に、「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴る音が聞こえた。
「タイミング良すぎるだろ。」
そんな言葉を呟いて、純くんがちらりと私の方を見てから玄関へと向かって行った。
その言葉の意味も、私を見た訳も分からなくて、また頭の中がはてなで埋め尽くされていく。
「お邪魔します。」
やがて純くんと一緒にリビングに入って来た人を見て、私は驚きの余りに完全にフリーズしてしまった。
……どうして?
……何で裕介くんが、ここに?!
立ち尽くす私に向かって裕介くんは、最初から約束していたかのように「迎えに来たよ。」と言って優しく微笑んだ。
私達の顔を見比べて驚く木村くん。
「えっ?裕介さんと……崎ちゃん先生?……あの……二人って……」
恐る恐る私に向かって問いかけようとした木村くんの言葉を「付き合ってるけど?」と、途中でバッサリ切り捨てたのは裕介くんで……。
マジかよー!と何故かショックを受けた様子の木村くんを指差しながら、「だから、お前だけは『崎ちゃん先生』って呼ぶな。」とよく分からない忠告をして、呆然とする私の手を引いてリビングの扉に向かってさっさと歩き出してしまった。