恋がしたい。ただ恋がしたい。
お友達と言っていたから、何となく誰の事を話しているのかは分かったけど、それ以上の事は分からないし、どうして裕介くんが彼女の存在を知っていたのか、気になった。
ただ、裕介くんの言葉を聞いて志田ちゃんがほっとした表情になったので、志田ちゃんは彼女の代わりにずっと裕介くんに謝りたかったんだって事だけは分かった。
***
「あの……さっきの話って、望さんの事だよね。」
玄関を出ると、ただ引っ張られていただけの手は当然のように指を絡め取られて、マンションの駐車場に向かってゆっくりと歩いている。
「そうだよ。彼女ね、昔『Felitita』の常連だったんだ。」
「でも……それだけじゃないよね?」
恐る恐る聞くと、「まぁ、そうだけど。」とサラッと返された。
否定もせずに、あっさり特別な関係だったと認められたようで、思わず顔を曇らせてしまう。
「……ってか、香織ちゃん。そんな不安そうな目で見なくても大丈夫だって。」
「…………だって。」
ポロリ、と今まで我慢していた熱が、瞳から溢れ落ちて、頬を伝っていく。
頭の中は、不安や嫉妬や様々な感情が合わさって、ごちゃごちゃだった。