恋がしたい。ただ恋がしたい。
「あー、参った。泣かせない為に迎えに来たのに、間に合わなかったなぁ。」
駐車場に着いて、裕介くんは私を助手席に座らせると、鞄からハンドタオルを取り出して、頬をそっと撫でるように拭いてくれた。
「…………ありがと。」
「どういたしまして。」
「……泣く前にって言ってたのに、準備がいいのね。」
「泣かせたくはなかったけど、それよりも慰める役は誰にも譲りたくなかったからね。」
ふふっと優しく微笑まれると、不安な気持ちが少しだけ楽になった。
「望さんに『Milkyway』で会った時は本当に驚いたよ。向こうも驚いてたけど……まさか、アイツの浮気相手が望さんだったとは思わなかった。」
「彼女ね、『Felitita』の常連だったんだけど、僕にね……ちょっと近づき過ぎちゃったんだ。だから僕には今後一切関わらないっていう約束で、今は『Felitita』を出禁になってる。」
「付き合ってたの?」
「まさか!好意は示されたけど、きちんとお断りしたよ。お客様とどうこうする気は無いよって、前に話したよね?」
うん、と頷くと、軽く頬にキスを落とされた。
「僕がどうこうしたいのは、香織ちゃんだけだからね。分かってるよね?」