恋がしたい。ただ恋がしたい。
「う……んっ。」
今度は頷き終わらないうちに、唇にキスをされた。
そのままチュッと啄むようにキスをされる。
何度かキスを繰り返していたら、ふいに裕介くんが顔を離した。
「……あ、見られちゃった。」
「……え?」
目の前の裕介くんの顔が苦笑いに変わる。
裕介くんの視線の方向に目を移すと、キスで蕩けてぼんやりとした視界の端に、こっちを見て真っ赤になったまま立ち尽くす志田ちゃんが見えた。
「……!!」
驚いて声も出せない私を見て、裕介くんはにっこりと笑って「行ってくるね。」と車を出て行った。
きっと私も、志田ちゃんと同じくらい真っ赤な顔をしているに違いない。
裕介くんは志田ちゃんと何か二、三言葉を交わすと、志田ちゃんはピョコンとお辞儀をして、マンションへと戻って行った。
……なんだか会話する前よりも志田ちゃんの顔が赤みを増したような気がするのは、気のせいだろうか。
裕介くんの顔を見る志田ちゃんの瞳が、まるで王子様に恋する乙女のような瞳をしていたことも……
たぶん、私の勘違いだと思いたい。