恋がしたい。ただ恋がしたい。
「おい、セクハラは止めろ。」
ふにふにのほっぺにせっかく癒されていたのに、ゴツッ、と頭に何か硬いものが降って来た。
「痛っ。何よ、もー。」
振り向くと後ろに純くんが立っていて、呆れたように私を見下ろしていた。手にはバインダーを持っている。どうやらバインダーの角で私は小突かれたらしい。
「女同士だってセクハラで訴えることができるんだからな。志田、遠慮しなくていいぞ。」
「失礼な!セクハラじゃないわよ。私は、ただ志田ちゃんに癒しを求めてたの!」
「はぁ?癒し?…癒されたいぐらい疲れる事なんて何か…」
そこまで言ってようやく自分が地雷を踏んでいた事に気がついたらしい。
何かあった?…ですってぇーー?!
アンタは『何があったか』よーく知ってるでしょうが!
むしろ、ありまくりだわ!!
「…スミマセンデシター。」
ジロリと睨むと、苦笑いを浮かべながら地雷を踏んだ男はそそくさと職員室から出て行ってしまった。
「…んで、らにがあったんれすかー?」
あっ、しまった。志田ちゃんの頬っぺた摘まんだままだった。