恋がしたい。ただ恋がしたい。
しばらくも何も、崎ちゃん以外の何者にもなれる気がしないんだけど。
「もう一生…崎山かもしれないよね。」
あっ、やばい。自分で言ったのに泣きそう…。
ほんとうは、死ぬまで一人ぼっちだなんて思いたくない。だけど、またこんな風に裏切られたら、と思うと結婚どころか誰かと付き合う事すら恐いと思ってしまう。
何もかも忘れたい。そう思ってワインに焼酎、カクテルにビールに日本酒と、ありとあらゆるお酒を買い込んで紫と裕介くんを相手に酒盛りを始めてから一時間半。
虚しい気持ちばっかり混み上がって来て、ちっとも酔えない。
そう言えば私ってざるだった…。
こんな時にふにゃっと酔っぱらっちゃうような、可愛い女が結局は選ばれて愛されるんだろうな。
あーあ。世の中って不公平。
「あ、そうだ。香織、あんたあのアパート引き払うって言ってたよね?もう新しい引っ越し先、探さなくていいよ。」
芋焼酎をロックで、と全く可愛いげの無い飲み方で嗜みながら、もう一人のざる女がさらっと提案してきた。
「えっ?どうして…?紫、探してくれたの?」
「ううん。探してないよ。私、ここ出て行くことにしたから。あんた、このままここに住んじゃいなさい。」
「…はぁ!?」
「私、来月からチーフに昇格するから。」
「…まさか。」
「そう。その『まさか』だよ。私、亘(わたる)と結婚するの。」
柿の種を頬張りながら、事も無げに言ってのける親友にがっくりと肩の力が抜けていく。
ざるでも可愛いげが無くても、選ばれて愛されている女が目の前にいた。