恋がしたい。ただ恋がしたい。

はい、そうです…。


バレバレの状況にあはは…と苦笑いを返しながら、傍らに置いていた瓶をそっとローテーブルの上に置いた。


「これ、ゆかりからもらったの。…ゆーすけくんも、のむ?」


瓶を見るなり、裕介くんの顔がパアッと笑顔になる。


「あっ!赤だ!!えっ…?これ、もらって来たの?紫ちゃんがくれたの?気前いいなぁー。」


コレは紫が大好きな季節限定の焼酎で、なかなか手に入らない代物なのだ。


「ゆかりといえばコレでしょ?なんかね、おいわいで、みーんなコレを送ってくるからって、おすそわけでもらっちゃった。『二人で一本だけね』って言われちゃったけどね。ふふっ。」


私は正直焼酎はあまり好きではないのだけど、この焼酎だけはワインのようにフルーティーで飲みやすくて、美味しくいただけるから大好きだ。


裕介くんだって普段はワイン派だけど、私と同じ理由でこの焼酎だけは大好きなはずで…分かりやすく顔がゆるんでしまっている。


「ねー、のもうよ。ゆうすけくんとのみたくて、まってたんだよ?…ねっ?」


まぁ正確に言うと、待とうと思ったんだけど、待ちきれずに飲んでしまったら、止まらなくなってしまって…


ついつい飲み過ぎて、寝ちゃったんだけど。
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