恋がしたい。ただ恋がしたい。
そんな私の心の叫びを知らない、目の前のこの男の中では…
「だってさ、今裕介と一緒に住んでんだろ?菊井と何があってどう別れたのかは知らないけどさ、崎山が菊井と結婚するかもって言ってたの、ついこの間だろ。」
私は遊びで男と付き合うような女で、しかも結婚まで妄想した途端に振られちゃった可哀想な女、って所まで話が進んじゃってるんだろうか…。
冗談じゃない!
「亨とは年度末くらいから、忙しかったから殆ど会って無かったの。だからその間に今の彼女…もう奥さんかもしれないけど、私だって何があったかなんて知らないよ。」
「裕介くんとだって、元々事情があってずっと住んでたアパートをしばらく離れなくちゃいけなくなったから、紫を頼って一緒に住まわせてもらってたのよ?そのうち紫が結婚するって言い出して…」
「でも今は二人で住んでるんだろ?で、いつから付き合ってたんだ?」
「だから、付き合ってないの!」
だめだ…全然話が進まない。
頭が痛くなってきた。
とりあえず話を整理して、誤解を解かないと。
そもそも、何でこんな面倒な話になってるの?…私が裕介くんと一緒に住んでるって誰から聞いたの?
美人で、頼りがいがあるけど…ちょっと口が軽い親友の顔がふわっと頭に浮かんだ。
「ところで、私が裕介くんと一緒に住んでるってのは誰から聞いたの?…紫?」
「いや。奏から聞いたんだ。」
そっかー、『そう』ね…
そう…そうって…
『奏』?
…あっ!
小山か!小山奏一か!!
「同棲してるのか?」とにやけながら話しかけてきた、ムカつく男の顔を一気に思い出した。
この前なんてそんなに喋った訳でも無いのに、余計な事を純くんに流してんじゃないわよ!小山!