恋がしたい。ただ恋がしたい。
大切な親友の結婚話は全然伝わって無かったくせに、こんなどうでもいい伝言ゲームが二人の間で即効で行われている事に、軽く怒りを覚える。
純くんは明らかに怒っている私を見つつ、「ほらな…」とため息をついた。
「だから怒るなよ、って言っただろ。ほんと、相変わらず…あっ。」
「相変わらず、何よ。」
「…相変わらず奏の事、苦手にしてるんだな。」
そして純くんは、それだけ言うとばつが悪そうに目をそらした。
「香織は奏一くんの事が苦手だよね。」
紫も私に同じ事を言ってよくからかうけど、紫が言うのと目の前のこの人が言うのとでは、少しだけ意味が違ってしまうのを、この人はよく分かっている。
だから私の前では、純くんはめったに小山の名前を口にする事はない。
「はいはい、その通りです。相変わらず小山くんの事は苦手です。…どうせ向こうだって相変わらずキツイ女だったな、とか言ってたんじゃないの?」
だから私は純くんが気にしないようにと、わざと笑いながら冗談めかして言葉を返すのだ。
だいたいヤツが何て言ってたかなんて、言われなくたって想像がつく。
だって、小山は自分の大切なものを守る為なら、酷い言葉だってまるで呼吸をするように、自然に口にするようなヤツなんだから。