好きも嫌いも冷静に

・実花、そして高城?



「こんにちは。いらっしゃいませ〜」

「あ、こんにちは」

学習したことは実行しないと意味がない。
確か、実花ちゃんだったな…。これ以上は声は掛けないぞ。…だけど。

「今の店員さん、伊織さんを知ってる感じ…というか、話し掛けたそうでしたけど、いいのでしょうか」

「常連てほどでもないけど、よく来てるからな。良いんじゃないかな〜。
あ、俺、こっちのエリアだから」

「あ、じゃあ、私は、料理だから…あっちに居ますね。少し色々見てますから。…」

「ああ、移動する時は声掛けるからね」

「解りました。…」

どうして…、こうも敏感に解ってしまうのかしら…。伊織さんのこととなると最大限に、勝手にアンテナを張り巡らせてしまうのだろうか…。
はぁ、あの店員さんは…伊織さんの事が好きなのね。ここには時々来てるらしいから、伊織さんも顔は知ってる…でもそれ以上は…みたい。
知らないところで沢山思われているのね…。
100パーセント、伊織さんのせいとは言わないけど…。
温和で容姿の良い人と言うのは、…大変なモノですね。


「こんにちは」

「は、い?こんに、ち、は」

誰だろう?住人さんじゃないし…。
頭の上のハテナを発見されたようだ。

「失礼しました。いきなり」

小さく控えめな敬礼をされた。

「あ…、あっ!」

失礼だけど指を指してしまった。
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