好きも嫌いも冷静に
「はい。解って頂けましたか?」
「はい。空き巣の時のお巡りさんですよね?」
「シーッ、すいません。あまりお巡りさんと言うのは…」
「ごめんなさい、つい…」
「いいえ、良いんです。ただ、今日は非番なものですから…」
「そうですよね、制服じゃないし、休みの日くらいは…」
「自分、たかぎ、高いお城で高城と言います」
「高城さん」
「はい、高城です。失礼ですが、お一人ですか?」
「…いいえ、あっちに…。あ、あそこに、居ます」
「あ、確か…取り押さえてくれた…」
「…はい」
「あの…お二人は…その、そういう間柄で、すか?」
「はい。…でも、あの時はまだ、ただの大家と住人でしたけど」
「今は…という事ですね…」
「はい、結婚の約束をしています」
「えーっ!…すいません、大きな声を…展開が随分と早いですね」
段々声を潜めた。
「…前から顔見知りですから、当たり前なんですけど…大屋ですから。だから、急だけど急でもないような…そんな感じです」
「なる程…。でもまだ結婚はされてないんですよね?」
「はい、それはまだです。前提ということです。ところで、高城さんもお料理、好きなんですか?」
「…。あ、ここ、はい。普段勤務中はカップ麺とか、近くのお弁当屋さんのお世話になってるんですが、交番勤務なので。
仕方ないんですけど、いつも結局、伸びきったラーメンを食べる羽目になってます。
ただ、休みの日には、ストレス発散というか、趣味みたいなものでしょうか、自分で色々作ってみたくなるんですよ」
「へぇ、ストレス発散に料理ですか?」
「はい、まあ、そんな感じです。頭も使うじゃないですか」