好きも嫌いも冷静に
「いいえ。不思議ですね」
「え?」
「凄い偶然です。フフフ。実は私も丁度考えていました。本屋さんに行ったのも、リフォームの参考になる本を買いに、が目的でした。
私も伊織さんと住むには…って、考えていました。どこか別の場所でというのも選択肢にないこともないですが。出来れば今のままがいいので。何だか、同じ事を考えていたんですね」
「そうなりますね。実はこれ…」
伊織さんが取り出して見せてくれた雑誌はまさにリフォームの雑誌だった。
「あ、この本。私が欲しかったリストの中にありました。…フフフ、本当不思議ですね」
「何だか気が合いますね」
「帰ったらもっと詳しく話しましょう?
今までは私一人で不安でしたが、…これからは伊織さんに何でも相談出来る。心強いです」
「俺はぶち抜く事だけ思いついただけで、建物の強度とかでどうなるかまだ解りませんし、内装のこととか全然解りませんし、センスもないし、無頓着ですから。もしかしたら壊すのは反対かも知れないって……あまり澪さんの役には立てないと思います。
そうだ。英雄に相談してみたら参考になる事言ってくれるかもです。この店のオーナーですし」
「あー、そうですね」
「なに?俺、呼ばれたかな?」
「ああ、噂してたところだよ。タイミングいいな」
「そろそろ、ケーキかなと思ってさ。で?噂とは?」
「ああ、澪さんから聞いてくれ」
「澪さんが?俺?」
「はい、ご相談が」
「じゃあ、奥の部屋に行こうか?」
「ぇえ?」
英雄が澪さんの手を引く振りをした。
「え?え?」
「英雄、止めろ。澪さん驚かせ過ぎだから」
「ハハハ。はい、はい、ごめんね、澪さん。
あの部屋は俺と伊織の、内緒の密会部屋だから」
「え?」
「わっ、バカ、意味深に妙な事まで言うな。何か想像した?だったら誤解だよ、澪さん。何もない、英雄ジョークだから」
「いや~ん」
澪さんはキョトンとしていた。少し間があって回路が繋がったようだ。
「えーっ?!」
驚いた顔で声をあげた。
ほら見たことか…。英雄、何とかしろよな…。
「……内緒の…密会…ですか…」