好きも嫌いも冷静に

・焼きもちは不安


実際、人の話をしている場合ではないと思っていた。
澪さんの気持ちを確かめるほどでもないが、今日、本屋で話していた、お巡りさん。
向こうは好意がありそうだった。楽しそうに、澪さんの一挙一動を見ながら話していたから…。
それがどうにもすっきりしなかった。
折角、部屋の話をしようと思っていたのに、…モヤモヤしたものが消えない。気持ち悪い。
これが焼きもちだよな…。多分。

別に今のまま、互いの部屋を行ったり来たりしながら生活しても全然いいんだけど。
それはそれで、変則的で楽しいと思う。
お互いの部屋があるんだから。楽だとも思う。



私が嫌な女だと前おきして話したけど…。
これから先、一体何度、今日のような思いをしなければいけないのだろう。
本屋に向かう道すがら会った、ともみさんと言う人。あの人は本当に伊織さんに合う人だと思ったから、一瞬にして不安になってしまった。
容姿も、持っている雰囲気も、間違いなく凄く相性が良さそうで…。
だから、あんな事…。
嫉妬とは…なんて醜いモノ…。

それから本屋の店員さん。きっと伊織さんの事が好きよね。ずっと目で追っかけてた…。
見てれば解る…もの…。

何も無いというお見合い相手だった、英雄さんの今の彼女…。英雄さんが思い続けた人なんだから、間違いなく魅力的な人だろう。
そんな人に好かれていた…。
断ったとはいえ…。

はぁ…、どんだけ嫉妬するって事は苦しいの…。
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