好きも嫌いも冷静に

・護ってください


「こんばんは」

「こんばんは、高城さん。今日もご苦労様です」

「いえいえ、仕事ですから。ところで変わった事はありませんか?
怪しい人を見掛けたとか、ありませんか?」

「はい、特に気がついた事はありません」

「そうですか。これから慌ただしい時期になりますので、変わらずくれぐれもご注意ください。それから、すみません。
これを、皆さんの目のつく辺りに貼って頂けると助かります」

それは犯罪抑止ポスターだった。

「共有玄関に貼っておきます」

受け取ろうと手を出した。

「あ、え?こ、こ、これは。一体…いつの間に…」

差し出した私の左手薬指に光る指輪を見て、激しく動揺していた。

「あ、最近です」

「さ、最近って、いつですか?昨日ですか、一昨日ですか?一週間前ですか?一月前ですか?
一体、いつですか?」

最早、巡査ではない。制服を着ていても一般人の男、高城に戻っていた。

「落ち着いてください、高城さん。入籍したのは本当に最近なんですよ?」

「あの人ですか?あの、イケ…、男前の、本屋で一緒に居た人ですか?」

「はい、そうですね」

「あぁ……、早くないですか?…。
…もう結婚しちゃうなんて。…あの時は、確か…まだ始まったばっかりだって…。そう言ってましたよね?あれは嘘ではなかったですよね」
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