好きも嫌いも冷静に


「はい、確か、…そんな感じだったと思います。嘘は言ってません」

「あ、もしかして、その、…もうオメデタですか?だから…」

「いいえ。ほら、ちゃんと見てください?
ぺちゃんこですよね」

「え?でも、できたばかりならまだ目立たないし…。では、…まさかもう、…生まれたんですね…」

「ち、違います。どちらでもないです。そんな事…。まだ…、…出来てないですから」

「あ…、す、すいません。では、何故‥」

「何故と言われても…、答えようがありません」

「そうですよね…。俺なんかに‥理由を知る権利もないし‥」

「あの高城さん?取り敢えず、落ち着いてもらえますか?」

「落ち着いてなんて…、これが…落ち着いてなんて、居られる訳がないです」

「高城さん…」

「ああ…、油断した。完全に油断した。
まだお付き合い始めと聞いて、付け入る隙はあると、…高を括っていました。完全に負けました。完敗です。
貴女の御主人には敵わない」

「え?」

「御子柴さん、…ああ、もう御子柴さんではないのでしたね。ですよね?えっと‥」

「美作です。美作になりました」

「…。はぁ…、美作さん。御主人は危機管理能力に長けているという事です。素晴らしい…」

「危機管理とか、そんな…、大袈裟です」

「う〜ん…、かくなる上は、…辞めるしかないか…」

「え?あのぉ…、ポスターを、‥そろそろ手を離して頂いても?」

「あ、すみません。どうぞ。お願いします」
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