好きも嫌いも冷静に


しかし…名前くらいでそんなに大袈裟にはしゃぐ事かな…。
嬉しいにせよ、過剰に喜びを現し過ぎてるような…。
もしかしたら…。
マスターの気を引こうとして、わざと俺に気のある振りをして、妬かせてるんじゃないのか?
根拠は無いが、何だかそんな気がした。
ここは試しに、大人の意地悪をしてみるか?

「確か、すみれちゃんだったよね?

「は、はい!」

「俺もすみれちゃんて、呼んでいいかな?」

「はい!勿論です」

俺はマスターの方に目を向けてみた。
…やっぱりな。
解らないようにはしてるようだけど、目茶苦茶、心配そうな顔して見てるじゃないか。
だとしたらだ。お互い思い合っているようなのに…、もどかしいなぁ。
…俺の思い違いかな?違うかなぁ…。

「すみれちゃん、お水もらっていいかな?」

「はい、すぐお持ちしますね」

俺はマスターに口をパクパクさせて手招きをした。
俺って顔をしているから、早く早くと手招きした。

マスターが合点のいかない顔で近付いて来た。

「マスター、早く告っとかないと、すみれちゃん、誰かに取られちゃうよ?」

ハッパをかけた。

「はっ?伊織、いきなり何だ?」

「俺の知り合い、すみれちゃん、いいな〜って言ってたの聞いたから」

「どこのどいつだ?」

あ、すみれちゃん来た。

「お待たせしました。
あれ、マスター、何してるんです?」

「ああ、あれだ、あれ、自己紹介だよ。
伊織の名前は聞いたけど、俺はまだ言って無かったからな。
…俺はひでお、英雄と書くんだ」

マジか…、英雄君がオネエ言葉とはね…。
名前とギャップあり過ぎなんだけど。

「お、おお…。英雄ね、よろしく。あ、俺も名前呼びでいいかな」

「ああ、勿論だ」

ま、これで少しは焦るかな?
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