好きも嫌いも冷静に

すみれちゃんが怪訝な顔つきで離れて行った。

「おい、どこの野郎だ?」

英雄が小さい声で聞いて来た。気になるよな。

「個人情報だから、詳しくは言えない」

話は作り話だからだよ。

「ふ〜ん。浅知恵だな、伊織。残念ながら俺はすみれの事は何とも思ってないんだ、…悪いけどな。
…俺には、もっと大人な人…、思い人が居るんだ。すみれには、妹みたいな感情しか持ってないんだ」

「そうなのか…。俺はてっきり、いい感じだから、思い合ってるのかと思ったんだ。すまない。余計なことをした。
でも、俺の間違いじゃ無ければ、どうやらすみれちゃんは、英雄の事、満更じゃないと思うけど。
違うかな…」

「…すみれは、…どうだろうなぁ。
俺には近すぎて解らないよ。そうなのかな?…」

「すまん。変に意識してないのに、悪いことしたよ。でも、あんまり俺に過剰反応し過ぎるから、…妬かせようとしてるんじゃないかと思ったんだ…」

「まあ俺はどうか解らんが、…伊織は男前だから、一般的に騒ぎたい気持ちは解るよ、すみれみたいに。
…大変だな色男はさ。知らないうちにファンが出来てるから」

「ファンなんて、いないさ。それこそ誤解だ」

「い〜や。名前も何も解らないけど、あの人素敵〜とか、きっと言われてるよ。色んなところでさ」

あ。あまりにも自然に英雄が両手の指を組んで祈りのポーズをするから…、俺の誤解は完全な払拭とは成らなかった。
乙女のポーズなんて…やっぱ英雄、オネエなんじゃないのか?…。別に構わないけど。
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