好きも嫌いも冷静に
進展と言っていいだろう
・突然の来店
あれから何日過ぎただろう…。
特に連絡を取ることもせず、自分に都合の良い言い方をすれば、そっとしている。
言い訳だな…。
弱気な自分だから、今の環さんの気持ちを考えたら、この前の行動だけでも、入り込み過ぎたのではないかと思っている。
肉食だなんて大見得きったものの…実際は、とんだ似非肉食だな…。
「いらっしゃいま、せ…」
「英雄…」
「環さん…。どうしたんですか?店に来るなんて…」
驚いた。こんな不意打ちあるかよ。
「あら、来ちゃダメだった?」
「そ、そんな訳、あるはず無いじゃないですか…」
ん?合ってるか?言葉遣い。…全く、焦るよな。
「あーえっと…、こっちに…ここに座ってください。何か、飲みます?」
俺は奥まった席に案内した。
「有難う。でも直ぐ帰るわ」
あ…そう…、なんだ。じゃあ…?、そうか、…まあ、ここではそんな話も出来ないか。
「ミルクティーでいいですよね」
「ミルクティーお願い‥」
「あ…」
「フフ、被っちゃったわね、…有難う。覚えてくれているのね?」
「…まあ。すぐ持って来ます」
…照れ臭いな。好きな人の好きな物って忘れないさ。今でも好きだとは解らなかったけど。…良かった。
「美味しいの、お願いね。英雄、後で少し話せる?」
「はい、混んできたら難しいですが、今なら、まだ大丈夫そうです」
「じゃあ、いいわよね」
…ゴク。話って。
「はい、どうぞ。美味しい、ミルクティーです」
環さんにミルクティーを出し、自分用にはコーヒーを置いた。
「有り難う。…凄いタイミングだったわね、…あの日。美作さんに断られた日…」
「…」
そんな日だと知ってて行ったとか、勘づいてそうで怖いな。何せ、伊織とは友人だと言い切ってしまったからな、
「貴方達が知り合いだと言うことにも驚いたけど…」
…それだよ。
「私はね…、お店に来てくれるようになった美作さんに惚れたのよ。美作さんは大事なお客さんでもあったの。まず、あの外見ね」
そうだと思った。整った顔の男、好きだもんな。それだから俺は今までの誰にも敵わなかった。
「今のままでも勿論素敵。どんどんいい男になるだろうと思ったわ。今以上に更にね、…色気も増して。……ん、…美味しい。
それだけじゃ無いのよ。多分、だから惹かれたのだけど‥。
彼は全然、気取ってないのよね。顔がいいと、いけ好かない男っているでしょ?変に自信持っちゃって、偉そうにする男。そんなところもないのよ。普通なの。穏やかで‥、話す事も正直で。だから惹かれたの」
ベタ惚れだな。