好きも嫌いも冷静に


抱きしめた。
身体の中、凄く熱くなった。触れればこうなることは解っていたことだ。これ以上は駄目だ…、求めてしまいそうだ。
馬鹿だな…。

「…自信はありません。こんな状況で一緒にいたら。でも、…貴女の望み、…それで貴女が安心出来るなら、そうしましょう。…ずるい気はします。先に言い訳をして置くみたいで…。
もう遅い。…さあ、寝てください」

「…あの、やっぱり…我が儘言っていいですか?」

「ん?何ですか?」

「ソファーで…、一緒に座って居たいです。ベッドじゃなくソファーなら…抵抗なくいいですよね?」

物理的な、理屈ではないんだけどな。

「ん?それは、寝ないで起きてるって事?」

首を振られた。

「…隣同士でくっついたまま居たいです。もし、眠くなって寝てしまっても…そのままがいいです。駄目ですか?…あ」

ヒョイと抱き上げ、ソファーに座らせた。
ベッドから掛け布団を持って来た。
隣に座り布団を掛けた。
近くに座ったせいだ、自然と肩が触れた。
左側はくっついている…。これだけでも、今の状況、まずいのに…。
言い訳に過ぎないが…我が儘を聞いてしまった。

「我が儘は最初に一つお願いされましたけどね?」

わざといたずらっぽく言った。

「あっ、ごめんなさい…」

「…こんな感じでいいかな?」

頭を肩に乗せるようにした。

「あ…、有難うごさいます。……」

お礼か。…。望みを叶えたからか。
これで納得なのか?
< 84 / 159 >

この作品をシェア

pagetop