最後の賭け
 他の人がこの光景を目にしたら、背筋が凍るほど寒い会話に聞こえるだろうか。

 外人でも言わないような甘い囁きを、真顔で言っているユウジが変わっているのだろうか。

 それに慣れてしまって、抜け出せないあたしがおかしいのだろうか。

 ただのマッサージ師だよ、なんてユウジは言うけれど、彼の傍にいると、心も体も癒される。

 そんな風になってしまった自分が、少し悔しい。

 年下の男に、心も体も見透かされているようで。

 それでも真依子は、彼に抱きしめられて、ほっとしてしまう。

 アロマより何より、ユウジの匂いが一番落ち着くんだよ。

 そう素直に伝えたかった。
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