最後の賭け
夏だから高原の温泉にしよう、と言った真依子に、ドライブもかねて海が見える温泉にしたいな、といったのは、ユウジだった。

やっぱりあの時譲らすに、長野辺りの温泉にしておけばよかったのかもしれない。

そしたら車でいくこともなかったし、こんなことにもなっていなかったかも。

いや、どうだろう。

ユウジはきっと同じ行動を取った気がする。


真依子はピアスのついていない耳たぶを、少し撫でる。

思えば悪い予感は最初からあった。

免許はあれど、車なんて持ってないのにドライブなんて言い出したのも、レンタカーの予約をした気配がなかったのも。

ちゃんと真依子が最初に訪ねておけば良かった話だ。

待ち合わせに、青いスポーツカーで現れたとき、瞬時に脳裏に浮かんだのは、徹の顔だった。

まさか旅行にまで着いてくるつもりなの? そう焦った真依子の前に、ドアを開けて降りてきたのは、ユウジ本人だった。

よりによって徹に車を借りたのか、という気持ちと、やっぱりそうなるよね、という気持ちと複雑になる。
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