最後の賭け
 五分、十分。真依子が無難に決めたのとはうってかわって、ユウジは迷った様子で、コーナーをウロウロしているようだった。

「ここじゃなくても、帰りにどこかお土産屋さん寄る?」

 真依子がそう声をかけたときだった。

「んー、ちょっと電話して聞いてくるかな。待っててくれる?」

 ユウジはそう言ってロビーの方へ向かった。彼がスマホを手にして電話をかけた相手。それは――。

「もしもし? 徹? 今大丈夫?」

 早かったせいか、ロビーに人がいなかったせいか。その声は真依子のいるところまで聞こえてきた。

 思わず愕然とする。

 お土産を買うのは分かる。車も借りてるし、あたしだってそうする。

 でも、わざわざ電話をかけてまで迷うほど大事なことなの? 

 何が腹が立つって、せっかく徹からは連絡がなかったというのに、最後の最後で、ユウジ、あなたから電話をかける?

 きっと彼らはずっとそうなのだろうか。

 それともあたしが何も言わないから?
 
 真依子はユウジの背中を見つめた。

 お土産を元の場所に戻すと、静かにロビーの受付カウンターへ向かう。



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